ミニチュア・ピンシャー
Miniature Pinscher
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愛好家からは「ミニピン」と呼ばれ親しまれているドイツ原産の犬種です。小型犬ながら番犬としても有能で、アメリカでは車の盗難防止のための見張りとして用いられたこともあるくらいです。原産国であるドイツではツベルク・ピンシェル(Zwergpinscher)と呼ばれています。
基本情報
体型 ⇒ 小型犬
体高 ⇒ 26~32㎝くらい
体重 ⇒ 4~5㎏くらい
被毛 ⇒ 短く少々硬めだが、手触りはなめらか
カラー ⇒ レッド、ブラック&タン、チョコレート&タン
原産国・地域 ⇒ ドイツ
寿命 ⇒ 13~14歳くらい
ミニチュア・ピンシャーの歴史
ドーベルマンのミニチュア犬だと思われている方が多いのですが・・・実は、犬種の歴史ではミニチュア・ピンシャーの方が古く、200~300年前にドイツや北欧の国々で小害獣駆除を目的として飼育されていた中型の犬種(ヘル・ピンシェル)を小型に改良固定したものです。ドーベルマンを作出したルイス・ドーベルマン氏は1890年頃、「レア・ピンシェルそっくりの大型犬」を目指して繁殖をしたという記録が残っています。
19世紀に入り急速に小型化が進み、愛玩犬として飼育できるサイズとなり、体形も洗練され都会的なスタイルとなり、1920年以降アメリカで飛躍的に発展し、人気が沸騰し、我が国にはアメリカ経由で多くの犬が入っています。着実に愛好家を増やし、「トイ・グループの王者」という異名まで与えられ、現在ではアメリカでもっとも人気のあるトイ・グループの犬種のひとつとなっています。
原産地ドイツではミニピンを、「ツベルク(超小型の)ピンシェル」あるい「レア・ピンシェル」と呼んでいます。ミニピンの四角い体躯と細い足、敏捷に飛び跳ねる姿が、ドイツの森に住む赤毛の子鹿「レア」にそっくりだからです。
ただ小型化されても本来の番犬としての素質は失わず、プライドが高く、自分より大きな相手にも立ち向かっていきます。現在でもネズミ駆除などに優れた能力を発揮します。またミニチュア・ピンシャーは警戒心が強いので、護衛犬として車に乗せられることも多かったようです。
ミニチュア・ピンシャーの性格・気質
機敏で活発、大胆で気性が荒く、自尊心が強い、自分より大きな相手でも恐れを知らず未知の人物にはすぐさま警戒態勢をとります。知らない人や犬に強い警戒本能を示すため、一時期アメリカでは車の盗難防止や麻薬密売者の護衛犬として、車に載せられている事がありました。
ドイツの使役犬由来の本質を持ったまま小型化されており、愛玩犬に分類されてはいるが大胆で気性が荒く、体質も強壮で番犬として充分過ぎる素質をもっているので、愛玩犬種で初めて訓練資格をとった事でも知られています。
テリトリー防衛本能が強くマーキング癖がありますが、家庭、家族にはきわめて忠実です。活発で、元気のよい、自信に満ちた穏やかな性格で、家庭犬としてふさわしい性質です。陽気で活発で、人間が大好きな犬種です。優しくて濃やかな愛情を持っていますから、子供とも上手に遊んでくれます。ただ相手が乱暴だと攻撃的になるので、小さな子供にはあまり向かないかもしれません。もっともエネルギッシュな犬種のひとつであるミニチュア・ピンシャーは、まるで休むことを知らない機械のような犬種といえます。常になにかおもしろいことを見つけようとせわしなく動き回り、大胆で恐い者知らずのところがあります。また、テリア種にみられるような、頑固で独立心の強い性質も持ち合わせています。他の犬には攻撃的になることがあり、小動物などを見つけると追いかけ回す傾向があります。
基本的には賢いので、タイミングよくしつけていくことができると、どんどんいろいろなことを覚えていきます。ただし、寂しがりなところもあり、一人ぼっちが多すぎたりすると、神経質で攻撃的な犬になってしまうので注意が必要です。また甘やかしてしまうと、神経質になり、無駄吠えが多くなることもあるので、しつける時には厳しく、遊ぶときは楽しくと、めりはりをつけて飼育するといいでしょう。
プライド高く、自己顕示欲が強く、ドッグ・ショーで注目を浴びても全く物怖じせず自己主張する、天性のショードッグです。
ミニチュア・ピンシャーはもともと清潔好きなので、室内を汚すことはあまりありません。
ミニチュア・ピンシャーの飼育
ミニチュア・ピンシャーの大きな特徴のひとつは『ハクニー』という歩き方です。馬が行進するときの前足を高く差し出す歩様で、凛々しく軽快に歩を進めます。標準体重3~3.5kgの超小型犬ながら、動作はビッグです。くつろぐ時に、前足を折り畳む姿も、馬や鹿にそっくりです。
ミニチュア・ピンシャーの体型はスクエアタイプで、ドーベルマンを小型にしたような姿をしています。小型犬ながらとても筋肉質で、胴もよく引き締まっていて、凛としています。
ミニチュア・ピンシャーの被毛・毛色・お手入れ
日本を始め、未だ多くの国でミニチュア・ピンシャーは、ドーベルマンと同じく生後間もなく断尾するのが習慣になっています。断耳に関しては特に決まりはありません。ヨーロッパでは断耳・断尾共に禁止されている国が多く、数年後には一部の国を除いて断耳、断尾の習慣が無くなるかもしれません。ドイツでも1987年に断耳が禁止され、1998年に断尾が禁止されています。
ミニチュア・ピンシャーの被毛は、短くなめらかなスムースコートで、毛色はディアー・レッド、レディッシュ・ブラウン、ダークレッド・ブラウンなどの単色や、ブラック&タン、チョコレート&タンなどの毛色があります。ブラック&タンやチョコレート&タンについては、レッド又はブラウンの斑のあるラッカー・ブラック(黒漆色)かチョコレート。斑はできるだけ濃く鮮明ではっきりとしているのが良いでしょう。斑の分布については、目の上、喉の下側、パスターン、足、後脚の内側及び尾の付け根の下。胸には2つの規則正しい明確に分かれた三角形があります。
ミニチュア・ピンシャーは被毛が短いスムースコートなので、手入れは簡単です。運動後に蒸しタオルか、しぼったタオルで身体全体を拭いてあげ、獣毛ブラシなどで皮膚を傷つけないようにブラッシングしてあげましょう。シャンプーもそこまで頻繁に行う必要はありません。
ミニチュア・ピンシャーの健康管理
短毛でなめらかな被毛は多くの手入れを必要せず、ミニチュア・ピンシャー自身が生まれつき清潔好きであり、飼育環境を汚す事がありません。ただし、寒さに弱いので冬場は特に暖かくしてあげてください。
運動大好きなミニチュア・ピンシャーは、1日30~40分程度の散歩や自由運動をさせてあげるようにしましょう。活発で筋肉質なので、毎日たっぷり運動させてあげることが大切です。小型なのであまり遠出をしなくても大丈夫ですが、1日に数回は室内や庭などで運動させてあげましょう。外で走り回ったり飛び跳ねたりすることを好みますが、寒いところは苦手なので、屋外での飼育はおすすめできません。
基本的には丈夫で健康体です。瞬発力があり、かなり高くジャンプすることも出来ますが、激しい運動や急なジャンプによって、関節を脱臼することや、ヘルニアになってしまうこともあるので、ジャンプはあまりさせないようにしましょう。