パグ
Pug
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紀元前400年以前から存在が確認されたきわめて古い犬種です。オランダ王室やイギリス王室にも愛された犬種で、しわの多いまじめそうな面ざしと愛嬌いっぱいのクリクリの大きな目が癒し系で大人気。
鼻ペチャなので、ブルドッグに似ているとも言われがちですが、血縁関係はありません。
基本情報
体型 ⇒ 小型犬
体高 ⇒ 25~28cmくらい
体重 ⇒ 6~9㎏くらい
被毛 ⇒ 細めで滑らかな短毛
カラー ⇒ ブラック、シルバー、アプリコットフォーン
原産国・地域 ⇒ 中国
寿命 ⇒ 12~15歳
パグの歴史
~中国からオランダ、そしてヨーロッパへ。~
パグは紀元前400年以前に当時の中国王室で飼育されていた“ローツ”と呼ばれた犬が原型となったと考えられています。パグは、何世紀も前に、アジアのチベットで仏教僧たちにペットとして可愛がられ、小型化された種のひとつだと考えられています。中国では、顔のしわがこの犬種の本質的な特徴とされました。パグの額にある縦のしわが中国語の漢字の「皇」に似ていたため、「皇の印」と呼んでいたともいわれているほどです。
その後、早くから極東と交易のあったオランダ(東インド会社)を介してヨーロッパに渡ったというのが定説になっています。
オランダ王室とパグとの関係は特に密接で、1572年、ヘルミングニーで一匹のパグがオレンジ公ウィリアムにスペイン軍の来襲を知らせ、公の命を救いました。そこでオレンジ家公認のロイヤルドッグになっており、王の肖像画にはパグが描きこまれ、墓標にまで登場しています。
その後イギリスへ渡り、ウィリアム3世以降、ビクトリア女王までパグは王室や貴族社会でもてはやされてきました。ロシアのエカテリナ2世もこの犬種の愛好者です。
ナポレオンの夫人ジョセフィーヌが“フォーチュン”というパグ寵愛していたことは有名で、ジョゼフィーヌは拘束された際、彼女の愛犬であったパグを使ってメッセージをナポレオンに伝えたといわれています。
狩猟犬を見慣れたヨーロッパの人々にとってパグは特異な犬種であったことは間違いなく、キング・チャールズ・スパニエルなどイギリス在来の犬種の吻の長さに影響を与え、ヨーロッパで短吻犬種が流行するきっかけを作りました。
~国によっていろいろな愛称があります。~
パグの犬種名の由来には諸説あります。
パグとはラテン語で“にぎりこぶし”のことで、頭部がにぎりこぶしに似ているからであるとする説や、1700年代にペットとして人気があった「パグ」というキヌザルの顔に似ていたために「パグ・ドッグ」と呼ばれるようになったという説などがあります。
パグはドイツでは「モプス(しかめ顔)」と呼ばれ、オランダでは「モプスフンド」、フランスでは「カーリン(パグを愛好した俳優の名前)」との愛称を持っています。
パグの性格・気質
~短吻なので鼻息は荒いのですが、気性は荒くありません・・・~
しわくちゃな顔、つぶれた鼻、がっちりした体、飛び出したような瞳・・・どれをとってもアンバランス
で奇妙な風貌で、常に何かを悩んでいるように見えます。パグの顔面の構造は人に近いとされ、顔の表情の変化で人と会話が出来るとまで言う愛好家がいるほどです。
いびきをかいたり、肥満傾向にあったりと現代人と似た傾向まであり親近感がわきます。
性格は穏やかで攻撃的になることはなく、愛嬌があり、威厳と理解力があり、飼い主に非常に忠実です。しかし、嫉妬心が強く頑固という評価も定着しており、典型的なワンホーム・ワンドッグ、一人っ子タイプの犬種だといわれます。
小さなアパートでも、どんな大きなお屋敷でも、たやすく適応することが出来る犬種です。
陽気であいきょうたっぷりで、誰に対しても友好的な上、とても我慢強い愛すべき犬種です。幼い子供と一緒に遊ばせていても心配はありません。人の気を引いたり、人を気持ちよくさせたり喜ばせたりするのが大好きなサービス精神旺盛な犬種です。喜怒哀楽の感情表現はとても豊かで、付き合えばつきあうほどに味が出てくる犬と言えます。
頑固で自立心旺盛です。自分の意思にそぐわないことには、頑として従いません。反面、家族に対しては繊細なまでの優しい気配りを発揮しますから、一度飼育した人は、次もパグを飼うケースが多いのも頷けます。威厳ある風格の中にもコミカルな表情が見え隠れするパグは、愛情深く、遊び好きで、共に生活するパートナーとして理想的な犬種といえます。
パグの飼育
パグは鼻がつぶれているので、呼吸がしにくく、熱交換の効率が悪いので、暑さや寒さにとても弱いです。熱中症で死亡する例もあるほどなので、天気のいい日に車内でお留守番させたり、真夏の日中に散歩をするのは避けましょう。また冬場は室内との温度差の少ない日中に散歩するようにします。
毎日散歩に連れ出し、活発に遊ばせて適度な運動をさせる必要があります。また、暑さと高い湿気に弱いので、あまり長時間屋外で過ごさせない方がよいでしょう。
とにかく、暑さに弱いので対策が必要です。例えば、パグにお留守番をさせて外出するときは『冷房』はつけっぱなしにするとか、扇風機やクールマットを用意するなどです。
夏の時期のお散歩は、暑い日中は避けて涼しい時間帯を選び、できれば水場のあるところで遊ばせてあげるとパグも喜びます。
また、鼻先がつぶれているので、呼吸が荒く、いびきが大きいです。慣れない人は寝室を別にしたほうがいいでしょう。
パグの被毛・毛色・お手入れ
短いけれど柔らかい下毛が密集していて、抱くとフワフワとソフトな手触りが特徴的です。ブラッシングをしっかりして、シャンプー後はじっくりと乾かしてください。
尻尾はクリンと巻き上げているのが特徴で、「二重巻きが望ましい」とスタンダードに明記されています。
体重は結構あります、「小柄だが、中身がぎっしり詰まっている」のが理想なのです。
毛色はシルバー・アプリコット・フォーン・ブラックがあります。
どの毛色も大変明瞭で、トレース(高等部から尾にかけてのブラックのライン)やマスクとのコントラストがはっきりしているほうが美しいとされています。
被毛のケアは最小限で十分です。時々ブラッシングをしてあげましょう。ただし、顔のしわによって皮膚病などにしないよう、こまめにしわの間を拭き、清潔に保つようにしましょう。
パグは被毛が短いので、獣毛ブラシでブラッシングして、運動のあとなどに蒸しタオルで体を拭いて、皮膚病を予防してあげましょう。鼻の周辺のしわに汚れがつまりやすいので、食後などによく拭いてあげましょう。手入れを怠ると臭くなってしまうばかりか、皮膚病の原因にもなるので注意が必要です。シャンプーは1ヶ月に1度程度で、垂れ耳は中が汚れやすいので耳掃除も定期的に行います。
ところで、短毛種なのにパグの抜け毛は大変なものです。
毛のお手入れをすると、パグがもう一匹できるくらいの毛のかたまりが出来上がります。
特に春と秋の『換毛期』は大量の抜け毛が出ます。
パグの抜け毛対策の基本はブラッシングになります。毎日もしくは2日に一度、ブラッシングして抜け毛のケアをします。洋服を着せることなどで、毛の飛散を抑えることができます。
パグの健康管理
目が大きく突出しているため、散歩時に小枝などで怪我をすることがあるので注意してください。
先天性の場合と遺伝の場合が多いが、パグ脳炎という病気を発症する個体も多いです。パグ脳炎は「壊死性髄膜脳炎」とも呼ばれ、現在治療法が見つかっていない病気です。
てんかんのような発作から始まり、麻痺、旋回運動や昏睡などに進行していきます。
治療としては、病状の進行を遅らせる延命措置や、発作などの症状を抑えてあげるくらいしかないようです。パグ脳炎が発症するのは、9ヶ月~5歳くらいの比較的若いパグで、それまでに発症しなければかかる可能性は格段に低くなるようです。
また、太りやすいので食事の与えすぎに注意しましょう。
鼻が低いので、息をぜいぜいさせたりいびきをかいたりしがちですが、おおむね手のかからない犬です。